お布団『幽霊と王国』@シアターバビロンのながれのほとりにて を観た話


むらさきさんが出るということで、ちょっと気になっていた団体だったし、ハムレット見たかったので行ってみた。

王子神谷は遠いけど、いいラーメン屋があって、なんか用をみつけて訪れたさがあった。
今回はミシュランにのってるラーメン屋に行ったみた。なんか上品なラーメンだった。

さてさて、本題に入る。

客入れでは、役者が舞台上で各々の好きなように開演までの準備をしていて、それを眺めているだけで楽しかったので、待つのはそんな苦じゃなかった。
パイプ椅子が置いてあって、それぞれ座る席が決まっていた。当パンにその席と役との対応図があって、見易さがあった。
役者それぞれのしていることは様々で、台詞確認をしていたり、ケータイをいじってたり、精神統一していたり、踊っていたり、三者三様で面白かった。
僕はだいたい、むらさきさんをニヤニヤしながら眺めてた。

いざ始まると、前半は本当にポップでキュートなハムレットという感じだった。
まあ、ちょっとふざけてるっていうか、茶化してるって感じもするのだけれど、本質は伝わってきたのでオッケー。
ガートルードとか超適当だし、ハムレット王超思わせぶりだし、クローディアスは超何も考えてないし、レアティーズは超大仰だし、ボレーショーは超かっこいいしそんな感じだ。
あと、出番じゃない時はそれぞれが自分の席に戻っているのだけれど、そこでは何をしていても良いみたいで、劇を観ている人もいたり、相変わらず携帯をいじっている人がいたりして、芝居を演じているのだという雰囲気を醸し出していた。
台詞は現代口語っぽく書き換えられていて、のんびりと分かりやすくハムレットを観れた。
あと、中身もちょっと変わっていて、その中でも、ポローニアスが最初からいなくて、代わりにその役割をネズミがやっていたのが、一番の改変だった。
まあ、僕もハムレットそんな詳しくないので、他に大きく変わってるところがあるのかもしれないけど。
しかし、オフィーリアが死ぬのはポローニアスが殺されるからなのでどうすんだろうと思ったら、死んだのはガートルードだったというまさかの展開。そこがちょうど中盤で山場。
そうなると、後半はこの芝居をどう進めるのかというドタバタ劇で、でも、違う人が死んだらもうどうしようもなくて、諦めた人が劇から退場していって、もう本当にどうしようもなくて、そもそも、母親死んでから、ハムレットは自分の役割を放棄しちゃうし、どんどんいなくなるし、最終的にはオフィーリア歯科残らないけど、オフィーリア実際には後半部では死んでるから役目がそもそもないし、劇が進行しなくなって、王国から誰もいなくなって、消滅して幕という感じだった。

中盤の劇中劇シーンで、この「幽霊と王国」というのもただのお芝居だよということも伝えられていたのだけれど、しかし、筋書きと違うことが起こってしまい、そこでみんながアタフタしているのが見所だった。
まあ、初っ端からハムレットは退場してしまって、説得にも応じないし、主人公がいないままだったので、もうどうしようもなかった感はあるのだけれど。
ハムレットエヴァンゲリオンのシンジくんっぽくて、よくよく考えるとナイーブなところも似てるしなるほどって感じ。
王国は人がいなくなっても消滅するのです。
そしてみんなハムレット王とは次元の違う幽霊になって舞台にいる。

まあ、つまり現代では王国というか、国とか国家に対する執着なんてそこまでないので、ダメになってしまったら諦めて次を探せばいいのだという、凄く現代の空気感を感じさせる芝居だった。
すぐ諦めちゃうし、そもそも、問題を解決しようとさえ思わない。
ただ、レールに乗っている間はちゃんとやるんだけれどね。

古典版ハムレットも観れたし、現代版ハムレットも観れたし、現代口語も観れたし、むらさきさん面白かったし、原田つむぎさん凄いよかったし、ラーメン美味しかったし、よかった。
ただ、尻がすごく痛かった。